東京都青梅市田邊家文書保存・調査活動


代表理事 西村 慎太郎
2021.2.3

【契機】
 2020年4月、covid-19の感染拡大を防止するため、日本政府により緊急事態宣言が発出され、「Stay Home」が各地で呼び掛けられた。当会では、「Stay Home」期間中のいわゆる断捨離において歴史資料が廃棄される恐れを懸念し、4月9日に「緊急事態宣言発出に伴う自宅などでの大掃除の歴史資料に関する注意点(お願い)」を配信し、歴史資料に対する注意を喚起した。この配信を受けて、青梅市田邉家より古文書の保存・調査に対する相談を受けた。
 緊急事態宣言解除後、田邉家文書を当会事務所にて保管し、劣化状態の確認と概要調査を行った。分量は多くないものの、当会として保存・調査活動をするには感染症予防対策が不十分であったので、2020年度総会の議決を経て、7月4日に「歴史資料保存・調査活動ガイドライン(covid-19対応)」を発表し、これに基づいた保存・調査活動の実践を決定した。

【作業と文書の概要】
 作業は2020年7月12日に青梅市文化交流センター研修室を借用して実施した。田邉家文書は点数が多くなく、収納されている秩序が分かりやすいものであるので、現状記録調査ではなく、概要調査を行うとともに、ドライクリーニングと番号付与を行った。もとの収蔵器に戻すため、中性紙封筒・中性紙箱への収納は行わず、和紙の付箋に番号を記して、それを挟む方法とした(なお、付箋は増田勝彦氏・櫛笥節男氏よりご支援頂いた)。
 各資料のメタデータは、番号・表題・内容・年代・作成・宛名・形態・数量・備考・作成者である。全53点の資料のデータが完成し、後日、所蔵者と青梅市教育委員会へ提供した。



 次に田邉家文書の内容を紹介したい。
 田邉家文書は2点の木箱に納められている。箱1は蓋に「御茶釜」「御夏目」などの墨書があり、井桁に「キ」と記された屋号の刻印が認められる。1-1〜1-18まで収められていた。最も古い古文書は天明5年(1785)の「有合質地畑手形之事」で、全体的には当該地域の年貢関係の帳簿や祝儀帳が多く見られた。
 箱2は蓋裏に大正2年(1913)12月に調布村千ヶ瀬斉藤吉五郎が調製したものと思われ、「奉納 行箱」とあり、2-1〜2-32まで収められていた。最も古い古文書は天保11年(1840)9月の「秋成御年貢取立帳」で、箱2に入っているものはすべて横帳で、年貢関係の帳簿・香奠帳・見舞帳などであった。

 なお、箱1・箱2のいずれも当該村の瀧沢組の年貢通帳が納められており、当該地域には田邉家文書以外遺されておらず、地域の歴史を明らかにする上で欠くことのできない重要な文書群である。同時に、田邉家文書を用いた古文書・くずし字の講座動画を作成することになっている。ご期待頂きたい。





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