東京都杉並区蒲生家文書保存・調査活動


代表理事 西村 慎太郎
2015.8.2

 杉並区蒲生家文書は2013年3月8日に概要調査を行い、その後4回にわたって保存・調査活動を展開した。もともと飛騨高山の酒造業・山下茂兵衛家で、明治維新後、蒲生俊孝は上京して森春濤に漢詩を習った後、法律を学び、宇都宮・下妻・新庄などで判事を勤めた人物である。その長男・俊文は近代の安全運動に尽力し、「安全第一」の標語や緑十字のシンボルマークを考案した人物。蒲生俊文については堀口良一氏の『安全第一の誕生』(不二出版、2011年)に詳しい。俊孝の二男は東京美術学校で油絵を学んだ早世の画家・俊武である。

 内容は近世の香典帳9点、その他は明治期のはがき類を中心としており、183点に及んでいる。はがき類は在学時代の私信が多いが、俊武による絵はがきなども見られる。はがきについては資料番号を記した中性紙を入れてはがきホルダーで保管することにした。これらについては全点写真撮影を行なった。

 その他、ご所蔵者と相談の上、詳細な保存・調査を行わないことにした7箱については概要調査のみをした。概要調査の方法については『NPO法人歴史資料継承機構ニューズレター じゃんぴん』vol.18(2014年)を参照されたい。

 蒲生家文書は近年当法人で積極的に活動している「移動する文書」の一事例であると同時に、別に俊武による絵画も遺されており、それらは現在修復が進められており、絵画そのものや絵画修復の分野と合わせて、利活用を検討していきたい。

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