石廊崎における成果報告
代表理事 西村 慎太郎
2007.2.23
NPO法人歴史資料継承機構設立以前、石廊崎地区の古文書を巡る活動は大きく3つに分かれていました。
ひとつは地元の方による古文書の整理活動です。昭和50年代に地元の一紳士による目録の作成や整理作業は石廊崎の人々に当該地域の歴史を鼓吹する上で非常に重要な活動でした。同氏は博物館建設を目論みましたが、志半ばでお亡くなりになりました。
但し、同氏の活動は意義の大きなものでしたが、知識不足のため、目録に誤りが多かったり、古文書を直接ベニヤ板に貼付してしまうなどの問題が残されました。
もうひとつは南伊豆町教育委員会と南伊豆町南史会(渡辺守男会長)による『長津呂浦における海難文書』編纂事業です。同書は教育委員会に保管されている石廊崎小澤大二家所蔵文書を調査し、海難関係の史料をまとめた貴重な史料集です。
古文書の保存活動と非常に重厚な史料集の編纂は意義深いものと言えます。この事業によって、海難事故の歴史的な位置付けを考えるきっかけをもたらすこととなりました。
そして、当NPO法人歴史資料継承機構の前身である私たちの活動です。
1999年11月に西村慎太郎(現NPO法人歴史資料継承機構代表理事)と田中潤(現NPO法人歴史資料継承機構監事)によって、同地域の古文書が見い出され、保存・修復処置が必要だという認識に至り次のような活動が始まりました。
事前調査 1999.11.13〜14
小澤一三家板張り文書の劣化状況を確認し、散逸を防ぐために調書作成
第一次調査 2000.6.24〜25
小澤良守家板張り文書の劣化状況を確認し、散逸を防ぐために調書作成
第二次調査 2002.6.4〜5
小澤良守家板張り文書の調書作成
第三次調査 2002.8.8〜9
小澤良守家未整理文書の調書作成、板張り文書保存のため薄様紙で覆う
以上の作業の後、当該地域の史料の重要性を広く地域の方々に伝達する必要を感じ、また、同様の問題を抱える地域は多いため、歴史資料保存のためのNPO法人の立ち上げに踏み切りました。
設立後の活動は次のとおりです。
第四次調査 2006.4.2〜3
NPO法人文化財を守る会に修復依頼、小澤良守家未整理文書の調書作成、写真撮影